実力だけで戦うのはもう古い。50万人のファンを作り拡散力で勝負した【たいぽん】

2018.09.10 バラエティ
KEYWORD : #ファン作り,#学生,#自己プロデュース,#音楽

音楽の専門学校を中退した後、YouTuberとして50万人(現在は60万人超)のファンを抱え、念願のロックバンドを結成したたいぽんさん。はたから見るととんでもないサクセスストーリーだが、バンドの人気絶頂期に「病んだ」と言う。結局、バンドはメジャーデビューからわずか1年で解散した。

YouTuberとしての人気でライブの集客に成功した彼の持論と合わせて、バンド結成から解散までの紆余曲折や苦悩を伺った。

 

▼前編を読んでない方はこちらから

 

Tシャツを作ろうとしたらバンドができた

たいぽんさんは音楽の専門学校を中退したあと、しばらくは音楽活動をしなかった。

 

 

たいぽん:趣味で音楽を続けたいと思っていたんですが、できませんでした。掲示板でバンドメンバーを探すことすら難しくて。ただ、歌はうまくなりたくて毎日カラオケに通って練習していました。歌の動画もちょこちょこアップしていましたね。4、5年前……20歳ごろかな。当時の歌を聴き返すと全然うまくないなって思います。ビジュアル系が好きなので高い歌声に憧れがあって、出せるようになるまで練習しました。

 

バンド結成のチャンスは突然訪れた。

 

たいぽん:人気が出てきたので自分のグッズを作りたいと思って、とある事務所に依頼して販売してもらいました。その時に「本当は音楽をやりたいんですよね」と話したら、他の事務所を紹介してもらえたんです。作曲家さんに曲を作ってもらったりしたんですが、俺の好みとは違う曲調でしっくりこず、そのまま2か月くらい話がストップしていました。

 

 

はぎぱん:音楽は相性もありますもんね。

 

たいぽん:それで、グッズを出してもらった事務所の社長に「バンドの件どうなってる?」と聞かれて「うまくいってないんです」と答えたら、その日のうちにバンドメンバーや作曲家の紹介からワンマンライブの日程まで決まりました。その時「ここだったら俺のやりたいことが実現するかな」と思って、バンドを結成したんです。

 

実力だけでのし上がるのは、もう古い

2015年にたった1日で誕生したロックバンド『SEIZE THE DAY』は、その後も次々に活動を展開していった。初めてのワンマンライブのチケットが完売し、翌年夏にはメジャーデビューが決まった。たいぽんさんは「スピードが速すぎて実感がわかないくらいだった」と言う。

 

 

たいぽん:週に3回くらい打ち合わせがあって、ライブでどこかに行く予定があって……めまぐるしかったですね。でも、次々に形になっていくのがうれしくて、すごく楽しかった。

 

はぎぱん:YouTuberとしての“たいぽん”を目当てにライブに来るファンも多かったと思うのですが、そのあたりはどう感じていらっしゃいましたか?

 

 

たいぽん:当時YouTubeチャンネル登録者が40万人以上いたので、『SEIZE THE DAY』の音楽ではなく俺に会うことを目的に来てくれる人もいました。というか、それが大半だったんじゃないかな。でも、俺をきっかけに『SEIZE THE DAY』の音楽を好きになってもらえればそれで良かったんです。”たいぽん”目的で300人規模の会場が埋まるなら十分うれしいし、最初はライブに来る理由はなんでもいいかなと思うので。

 

はぎぱん:最初は集客が一番大変ですから、結成当初からたいぽんさんのファンが多くいたのは大きなプラスですよね。

 

 

たいぽん:正直、アドバンテージはかなりありました。知名度が全くない人がバンドを1から作ろうとしたら、相当時間がかかります。今の時代、自分の知名度を上げずに実力だけでのし上がろうとするのは古い考え方なんじゃないかな。まずは、ネットを使っていかに自分のことを発信するか、いかに有名になるかが大事。インフルエンサーになってから音楽を届けた方がより多くの人にリーチできますし、俺は有名になる努力も大切だと思います。

 

ファンが50万人いても“病んだ”

バンド活動が本格化して軌道に乗る一方で、たいぽんさんの負担は増していった。2016~2017年のことだ。

 

 

たいぽん:YouTubeとバンドの両立がとんでもなく大変でした。音楽活動をしているYouTuberはちらほらいますが、大体はワンマンライブだけです。俺は月に3~4回の対バンがあって、さらにワンマンライブもやるので年に50回くらいライブがありました。週1でスタジオ練習にも入って、MCや演出についても考えなきゃいけないし、そのうえYouTube動画の企画・撮影・編集もやるとなるとスケジュールがパンパンで……心身ともに余裕がなくなりました。

 

この時期が、YouTuber活動をやっていて一番しんどかった時期だと言う。

 

 

たいぽん:YouTuber活動もつまらなくなりました。楽しく感じることもあったんですが、楽しい時期よりもつまらない時期の方が圧倒的に多かった。当時のチャンネル登録者数は50万人くらいいたんですけど、モチベーションはめちゃくちゃ低かったです。しょっちゅう「つまんねーな」って思ってて、いわゆる“病み期”でしたね。

 

はぎぱん:YouTube動画の内容・やり方は今までどおりだったんでしょうか?

 

 

たいぽん:変えてなかったです。単純に忙しすぎて気持ちがついていかなくなったんだと思います。編集する時間も気力もなくなるし、意欲が一気に落ちちゃったんですよね。「俺、全然うまくいっていないな」っていう感覚でした。

 

はぎぱん:その頃、音楽活動はうまくいっていたんでしょうか。

 

たいぽん:バンドもうまくいっていませんでした。大きな理由は、俺がやりたい音楽ができていなかったこと。世界観も含めて俺の理想とは違っていて、だんだん億劫になっちゃったんです。バンドメンバーはみんな俺より年上で、青春時代に流行っていた音楽も違うし、ちょっとズレがあったんですよね。そういう「なんか違う」が蓄積されていって、メジャーデビュー1年後の夏に解散することになりました。

 

はぎぱん:どういった音楽活動がたいぽんさんの理想だったんでしょう?

 

 

たいぽん:作詞も作曲も自分でやりたかったんです。アレンジはみんなでやっていましたが、人の作った曲を歌っているだけで、自分の好きな音楽を表現できなかった。俺もそれをちゃんと伝えられれば良かったんですが、遠慮しちゃって言えなくて。最初は1年くらい活動休止しようかと思っていたんですが、1年後に今のモヤモヤがなくなってるかというと、なくなってないだろうなと。だったら別の道に進んだ方がいいんじゃないかと思って、解散を選択したんです。

 

解散という結果にはなったものの、そこからの学びは大きかった。

 

 

たいぽん:結局、俺は一人が好きなんです。自分のペースで好きなことをやりたくて、そうじゃないとうまくいかない。それがわかってなかったから、バンドもうまくいかなかったんですよね。バンドは全員が同じ方向を目指さないといけないから、物事ひとつ決めるにも話し合いが必要で「俺一人だったらすぐに決められるのに」ってムズムズしちゃって……団体行動が向いてないんです。だからYouTuberが性に合っているんでしょうね。

 

YouTubeが趣味から仕事になり、また趣味になった

はぎぱん:一度モチベーションが維持できなくなったYouTuber活動は、バンド解散後どういう風に変化しましたか?

 

 

たいぽん:うーん……今でも、動画投稿しまくっていた全盛期ほどのやる気は取り戻せていないんですよ。考え方が変わったんですよね。最初は「YouTubeで有名になりたい」って動機で活動していましたけど、今はある程度有名になったし、そこまで強い動機がなくて。YouTubeっていう趣味がYouTuberという仕事になって、また趣味に戻りつつあるって感じですかね。

 

趣味に“戻る”と言っても、本当に戻っているわけではない。知名度が上がり、動画制作にも慣れ、確実にステップアップしたうえでの趣味化である。要は「無理せず自然体で楽しむ」ということだ。

 

 

たいぽん:無理して自分のペースを崩すとやる気がなくなるってことがよくわかったので、再生数や登録者数を力づくで取りにいくよりは、自然体で楽しく続けられたらと思ってます。俺にとっては、自分が楽しめるペースを守ることが一番大事なので、そのうえで広がっていけばいいですね。

 

はぎぱん:視聴者に左右されないってことですね。

 

 

たいぽん:そうです。そもそも、YouTubeは視聴者に左右される必要がないものだと思ってるんですよ。テレビと違ってスポンサーがいるわけでもないし、何か言われても関係ないじゃないですか。それこそ「好きなことで生きていく」ってことですよね。最近は特によく思いますね、「伸びるとか伸びないとか関係ないし、自分の楽しいことをやればいいや」って。

 

はぎぱん:少しずつファンを作って、色々と経験したたいぽんさんだからこそ言える言葉ですね。知名度やファンがいない人が言うと負け惜しみっぽくなりますが、たいぽんさんが言うと説得力があります。

 

引退宣言の真相とは

このようにYouTuber活動自体にも大きな悩みを抱えていたたいぽんさんだが、実は一度YouTube引退宣言をしている。

 

 

ちょうど“病み期”にあたる2016年の年末「チャンネル登録者数が2017年内に100万人に到達しなければYouTubeを引退する」と宣言した。翌2017年の年末時点で登録者は60万人にとどまり、そのまま引退。しかし1か月後に復帰し、「単なる釣り(話題作り)だったのでは」といった声も多い。その真相を伺った。

 

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アダルティックYouTuber・たいぽんの動画撮影に密着してみた

取材・文/はぎぱん 写真/ひらはらあい

 

『たいぽん/TAIPON』YouTubeチャンネル

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