女性YouTuber社長・ロシアン佐藤。エンジニアからインフルエンサーに

2018.08.07 グルメ
KEYWORD : #動画制作,#大食い,#炎上,#自己プロデュース

 

「針で刺すような痛みが突き抜ける」という激辛カップラーメン『蒙古タンメン中本 北極ラーメン』を一気に6個すすり上げ、残ったスープは具材を追加して土鍋いっぱいの激辛クッパにし、同時にごはん9合をぺろりと平らげた。

 

総重量はなんと6.5キロ。無類の辛党もひいひい呻く激辛ラーメンが、大家族でも食べきれないほどのごはんとともに女性の体内へするすると消えていくさまは壮観で、まるで魔法のようだった。

 

 

大口モンスターからYouTuberへ

“大口モンスター”ことロシアン佐藤さんは、フードファイター歴10年を迎える大食いタレントであり、エッジニア合同会社の共同代表兼COO、そしてYouTuberだ。2018年8月時点でチャンネル登録者数は35万人、動画の総再生数は1憶回を超える。2016年2月に動画投稿をスタートして以来、着々とファンを増やしてきた。

 

 

大食いデビュー10周年を迎える彼女は大食い女王戦でおなじみの人物で、2018年の「元祖!大食い女王決定戦」にも出場した。テレビ出演経験が豊富なロシアン佐藤さんであればYouTubeデビューもスムーズだったろうと思いきや、そうではない。初めてYouTubeに動画を投稿したのは2016年だが、大食いYouTuberとして知名度が高かったのは同じくフードファイターの木下ゆうかさんだけだった。そのため、「真似している」「二番煎じだ」といった言葉がコメント欄にずらずら並んだ。

 

 

ロシアン佐藤:すごく荒れて、もうお祭り騒ぎでした。絶対叩かれるだろうなと予想はしていたので、やっぱりなあと思いましたね。でも動画を作るのはすごく楽しくて、応援してくれる方もいたので続けられました。

そもそも大食いってあれこれ言われるのが当たり前の世界で、メンタルが鍛えられるんです。10年前のデビュー当初は「何を言われるんだろう」とドキドキしていたんですが、有名になるにつれて批判されることが増えて、だんだん慣れていきました。大食いタレントの先輩からも「みんな叩かれるよ。見たい人は見てくれるし気にしない方が良いよ」と言われて、そういうもんなんだなと思っていたので、そこまで動揺しなかったです。

 

 

ロシアン佐藤さんはこともなげに当時を語ったが、一般人だと打ちのめされるような言葉のオンパレードである。並みの精神力しか持ち合わせていなければ、尻尾を巻いてYouTubeの舞台から退散するだろう。

 

はぎぱん:とはいえ、いち出演者として参加した大食い番組の内容をネット掲示板などで批判されるのと、自分で作った動画をそのコメント欄で批判されるのとではインパクトが違いますよね。それでも自然と乗り越えられましたか?

 

やはりロシアン佐藤さんのまっすぐな瞳がゆらぐことはなく、感情の一歩先、受け止め方と対応策について話した。

 

 

ロシアン佐藤:コメントをご意見・応援・中傷の3つに分類して、対応を変えています。ただ傷つけたいだけの中傷コメントはスルーしますけど、たとえネガティブな言い方でも「こうしたらもっと良い動画になるんじゃないか」というご意見は前向きに捉えて改善します。

 

コメントを気にする・気にしないの境界線は、自分が納得するかどうかだ。

 

ロシアン佐藤:納得できるご意見であれば積極的に取り入れます。私がちょっと気を付けるだけで気持ちよく見れる人が増えるなら変えた方がいいじゃないですか。できるだけコメントを自分の糧にしたいなと思ってます。

 

テレビは出演者が番組内容を変えることはできないが、YouTubeは自分でゼロから作っていくので、良いと思った意見はそのまま動画に反映できる。しかし、最初は自分で作り上げることへの戸惑いもあったという。

 

 

ロシアン佐藤:テレビは決められた企画に沿って全体の流れに乗ればいいんですけど、YouTubeは企画から演出まで全部自分で決めないといけないので、テレビとは違った緊張感があります。

 

特に抵抗を感じたのは、ひとりで動画映えするテンションにまで引き上げることだ。

 

ロシアン佐藤:テレビだと現場でスタッフさんと撮影するので“佐藤ひとみ”から“ロシアン佐藤”にバチッと切り替えられるんですけど、YouTube動画を始めたばかりの頃は自宅で撮影していたので、なかなか切り替えられなくて。カメラの前に立ってテンションを上げるたびに恥ずかしくなってましたね。今は録画ボタンを押した瞬間に「よっしゃ!」と気合いが入りますが、やっぱり人に見られると恥ずかしいので…基本的にはひとりで撮影しています(笑)

 

 

終始笑顔を絶やさないロシアン佐藤さんからは、大食いタレントとして10年活動するなかで培ってきた芯の強さを感じる。それでも、彼女の奥に潜む感情を見てみたくて、私はもう一度「自分が評価されること」について質問した。

 

 

はぎぱん:テレビだとまず番組があって、その中に出演者が組み込まれる形になりますけど、YouTubeだと自分そのものが番組であり、メインコンテンツですよね。つまり自分単体が直接的に評価されるわけで、そこに対する不安はありませんでしたか?

 

うーん、と少しだけ間をおいたが、やはり前向きな言葉がするりと出てくる。

 

 

ロシアン佐藤:テレビで人前に出ることには慣れていたので、抵抗はなかったですね。それよりも、うまく編集できたかな?っていうのが気になっていました。編集は最初からひとりでやっていて、ほかの大食い系動画を見たり、食べ物系の動画を参考にしたり、テレビ番組の食べ物の撮り方を分析したり…日々勉強しています。

 

YouTuber社長になり、好きなことで突き抜けた

YouTube活動のきっかけは、同じく大食いタレントの木下ゆうかさんとの会話だ。

 

ロシアン佐藤:木下ゆうかちゃんが「YouTubeおもしろいよ、飽き症の私がこんなに続けられたのは初めて」と言っていて、興味を持ちました。木下ゆうかちゃんがYouTube投稿を始めてからも何度か会って動画について話したりして。今ではたくさんの大食いタレントがYouTube活動をしているので、コラボ動画を撮影することもあります。

 

 

YouTuber活動を始めた2016年2月、ロシアン佐藤さんはエンジニア職の会社員だった。その4か月後に独立してエッジニア合同会社の共同代表になり、タレントやYouTuberとしての活動にも注力するため「IT×食×動画」を会社の主軸に据えた。動画撮影も社内で行っている。

 

 

ロシアン佐藤:自分たちの好きなことを仕事にしようと思って、食をテーマにしました。そもそもYouTubeは大食いタレントとしてのブランディングのためにスタートしたのですが、見てくれる人が増えてきたので、もっと本気で取り組むために事業化したという流れです。会社の立ち上げメンバーは全員エンジニアなんですけど、元パティシエなど食に興味があるメンバーが揃っていたので、食の楽しさを伝えることを事業の軸にしています。

 

「もともと起業家気質でしたか?」と聞くと、ロシアン佐藤さんは「ぜんっぜん起業家気質じゃありません」と即答した。

 

 

ロシアン佐藤:昔は物事に対してすごく受動的でした。自分から「こうしたい」「ああしたい」と言いはするけど、じゃあどうするかという動き方までは全く考えられなくて、誰かが動いてくれるのを待っていたんです。今は代表としてやりたいことをどう形にするか考えなきゃいけないので、ようやく能動的に動けるようになりました。自分から発信して前のめりに行動しないと、物事って本当に動かないんですよね。

 

合同で代表を務めるのは、会社員時代にロシアン佐藤さんの上司だった塚田賢一郎さんだ。塚田さんがロシアン佐藤さんを誘い、エッジニア合同会社を立ち上げた。男性上司が女性部下を同じ立場の合同代表に指名するのはなかなか珍しい。「ロシアン佐藤さんを信頼しているんですね」と塚田さんに水を向けると、深く頷いた。

 

 

塚田:はい。10年近くいっしょにいて、右腕として活躍してもらっていました。佐藤はすごく優秀なんですよ。地頭が良くて、物覚えが早い。クリエイティブ気質でほかの人にはない能力も持っていたので、会社員時代に佐藤が別のチームに異動しそうになった時は「佐藤は手放したくない」とごねて阻止したくらいです。

 

 

ロシアン佐藤:塚田さんには敬語で話してはいますけど、いわゆる上司部下の上下関係はなかったので、合同代表を務めることにも抵抗はありませんでした。生意気かもしれないですけど(笑)大食いの仕事も自由にやっていいと言ってくれたので、迷わず独立の道を選びました。

 

現在は、塚田さんがロシアン佐藤さんのマネジメントを担当している。塚田さんは物静かで真摯な男性であり、ロシアン佐藤さんへ向ける眼差しは上司というより兄に近かった。一歩引いて、尊重しながら見守っている。「塚田さん、お優しそうですね」とロシアン佐藤さんに聞くと、少しうれしそうに笑ってから首を振った。

 

 

ロシアン佐藤:いやいや、そうでもないですよ。よく意見がぶつかります。ガツンと言われて泣くこともあるくらいで。

 

笑顔の裏側が垣間見えた。

 

はぎぱん:やはり代表同士でぶつかることもあるんですか?

 

ロシアン佐藤:そうですね。塚田に限らず、役員同士のぶつかり合いは多いです。でも、それはみんなが本気で「会社を良くしたい」「こんなことをやりたい」って考えているから。だからそれぞれの主張がぶつかったとしても、相手の意見を認めるべきだし、自分も相手に理解してもらえるまで話し合わなきゃいけないと学びました。

 

塚田さんをちらりと見ると、ちょっと困った顔をしながら口を開いた。

 

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取材・文/はぎぱん 写真/ひらはらあい

 

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